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脳動脈瘤がみつかった!
<脳神経外科医    藤津 和彦>


   脳ドックを受けるほとんどの人は「脳の病気を見つけてもらおう」ではなく「脳卒中予防のための検査」を受けて「安心したい」と願っています。ところがこの検査でたまたま脳動脈瘤(りゅう)という恐ろしい病気が発見されると、パニックに陥るのは当然です。「もし破裂してクモ膜下出血を生じた場合は3分の1の確率で死亡・脳死・寝たきり、次の3分の1は片麻痺や言語障害などの重大合併症、手術によって幸運にも元の生活に戻れるのは残りの3分の1です」と聞かされれば、誰でもそれが頭から離れず「うつ状態」になってしまいます。「知らぬが仏」でいたほうがよほどよかったと思うでしょう。

  年間破裂率は2〜3%というエビデンス(統計的事実)を聞かされて安心できる人は少ないでしょう。もし破裂すればその人にとっては100%ですから。最近の医者はエビデンスを示すだけで、あとは「患者様」が決めて下さいと「決定責任」を逃れます。「患者様」などと「変な日本語」を行政天下りの「病院機能評価機構」の勧めるままに用いている医者は信用できません。「いろいろな方法がある」という型通りの説明が次に続きます。これもまたインフォームドコンセントと称して「全ての選択肢を示して患者に選択させれば医療機関は結果責任を免れるのではないか」とも思えます。

 「血管内治療の方が開頭手術より安全」と誤解する患者さんが多いのは大問題です。脳外科の医療事故第1位は実は血管内治療なのです! 関東で一番多く血管内治療を行っている某大学病院でも年間3%の合併症(血管内治療に用いるコイルが動脈瘤を突き抜けてクモ膜下出血を起こしたり、意図しない血管に詰まって脳梗塞を生じたり)が報告されています。実はそれ以上に多いのは動脈瘤が充分に閉塞されなかったり、3カ月後に再検査したら再発していた(再開通)という例で、これが20〜30%もあります。

       一方、開頭手術は当然のことながら手術する脳外科医の経験と技量によって雲泥の差があり、少ない経験にもかかわらず10%を超える合併症をだす脳外科医もいます。大病院(大学病院を含む)に必ずしも手術の上手な脳外科医がいるとは限りません。個々の医師の経験と成績を必ず問いただしてください。病院が手術するのではないのです。

 筆者はこれまで年間100例以上の動脈瘤を手術して来ましたが、15年以上合併症は〇です(ただし巨大動脈瘤はどんな達人が手術しても15%前後の合併症が発生します)。脳外科手術を行っている病院(大学病院、公立病院、個人病院を問わず)に相談に行くと当該もしくは関連の病院へ誘導されてしまいます。現状は適切なコンサルテーションシステム(相談窓口)がありません。今後の大きな課題と考えています。脳腫瘍や脳動脈瘤の手術を受けるかどうか、誰に手術を頼むか、迷っている方には相談に応じたいと存じます。

今回ご寄稿頂いた国立病院機構・横浜医療センター副院長の藤津和彦先生は、脳手術の名手と言われている脳神経外科医です。関東一円でもっとも多く脳腫瘍と脳動脈瘤の手術を行っています

 (別府 倫兄)

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