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血液の癌〜白血病 <順天堂大学教授 押味和夫>
白血病には急性白血病と慢性白血病とがあります。それぞれ、さらに骨髄性とリンパ性に分かれますので、全部で四種類になります。そして、おのおのがさらにいくつかに細分類されます。急性白血病は放置すると急に悪くなりますが、慢性白血病は放置してもすぐに悪くなるという危険性は少ないです。しかし、これらの白血病は経過を観察することで診断するわけではありません。血液や骨髄にある白血病細胞の形や染色体、表面マーカー、遺伝子などの検査から、総合的に診断します。診断が重要なのは、それによって治療法や予後(これからどういう経過をとるか)が違うからです。それぞれの白血病で治療法が大きく異なりますので、一つひとつ説明します。
まず急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病ですが、抗がん剤を組み合わせて使います。それぞれの病気で使う抗がん剤は異なります。同時に、合併する貧血や感染症などの治療のために、輸血や抗生物質などの支持療法を行います。一定期間抗がん剤を使いますと徐々に元気のある正常細胞が作られてきて、健康な状態に回復します。この状態を完全寛解とよびますが、まだ白血病細胞は少しだけ残っています。さらに治療を続けて、白血病細胞をさらに減らします。もしも予後が悪そうな白血病でしたら、このあと造血幹細胞移植を行います。造血幹細胞は赤血球や白血球などの血液細胞を造るための細胞で、骨髄や臍帯(さいたい)血に多く含まれていますが、これを末梢(まっしょう)血へ動員することも可能です。骨髄や血液などから造血幹細胞を採取し、移植するのです。提供者としては兄弟が最もいいのですが、ボランテイアの方の骨髄や臍帯血も使われます。ただし、患者さんの年齢が高いと合併症が起こりやすくなりますので、移植は不可能です。造血幹細胞移植が進歩したお蔭で、治療成績は向上しました。
慢性骨髄性白血病は慢性に経過し、放置すると平均三年半で急性白血病のような状態になり治療は困難になりますので、そうならないように治療します。最近画期的な治療法が開発されました。「イマチニブ」という名前の飲み薬です。これを毎日飲み続けますと、病気はほとんど消えてしまいます。ただし、やめるとまた白血病細胞が増えますので、飲み続けることが必要です。なかにはこの薬が効かなくなる人もおりますが、量を増やすとか、さらに新しい薬(もう少しで入手できますが)とか、あるいは造血幹細胞移植とかが有効です。つい数年前までは治療がむずかしい病気でしたが、夢のような新薬ができたお蔭で、容易に治療できるようになりました。
慢性リンパ性白血病は日本人には少ない病気です。高齢者に多いのですが、完全に治すことはできません。ですから、病気があるていど進行したら、抗がん剤を注射します。最近、ある種の薬をいくつか組み合わせると、病気がほとんど消えるようになるとの報告が出てきておりますが、これが果たして本当なのか、検証が必要です。
(別府 倫兄)
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