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前立腺癌の検査を受けてみませんか <順天堂大学教授 藤目 真>
最近、前立腺癌(がん)が増えています。年齢調整罹患率(人口10万人当たり1年間に新たに発生した患者数、昭和60年のモデル人口を基準として調整されている)という指標でみると、1975年は7.1でしたが、1998年には19.9と約2.8倍に増加しました。前立腺癌の患者さんが日本に何人いらっしゃるか(有病率)についての正確な数字はありませんが、各地で行われている前立腺癌の集団検診の結果をみますと、50歳あるいは55歳以上を対象にした検診で、癌の発見率はおおよそ0.8%と、極めて高い率になっています。
前立腺癌になる可能性は年齢とともに高くなります。98年の罹患率は、50〜54歳では3.0、55〜59歳では 12.4、60〜64歳では35.1、65〜69歳では85.5、70〜74歳では151.5、75〜79歳では193.8、80〜84歳では294.2、85歳以上では359.1と、加齢に伴い顕著な上昇がみられます。
現在、前立腺癌を疑うきっかけとして、よく用いられる血液検査に、血清PSA値の測定(以下PSA検査と呼ぶ)があります。PSAというのは、日本語では前立腺特異抗原とよばれる蛋白質です。本来は前立腺から精液中に分泌される酵素蛋白で、前立腺以外の組織ではほとんど作られません。この蛋白質は健康人でも微量、血液中に存在しますが、前立腺に癌や、肥大症、炎症などの異常が発生すると、血液中の濃度が高くなるため、このことを利用して、病気の診断に役立てることができます。
このPSA検査が、前立腺癌の検査として、検診や一般診療に導入されたことにより、前立腺癌の早期発見が可能になりました。最近の米国のデータによれば、前立腺癌の96%が、転移のない時期に発見されています。そして5年相対生存率は、以前は75%前後であったものが、現在は99.8%にまで高まっています。つまり、前立腺癌を持っていることが、持っていない人に比べて、あまり寿命を縮めないことになります。
これはPSA検査で癌の早期発見が可能になったことによりもたらされたものです。早期発見により、進行癌の割合が減り、癌で亡くなる人が減りました。欧米では、PSA検査によるスクリーニングの普及に伴って、前立腺癌の死亡率が減少したことを示すデータがいくつも報告されています。しかし、日本では社会の急速な高齢化による罹患率の上昇や、PSA検査の普及率が必ずしも高くないなどの状況があり、死亡率の上昇がやや頭打ちになっているものの、いまだ下降するには至っていません。癌の診断も治療も、その最終的な目的は、死亡率を低下させることにあります。そのためには、社会の高齢化は致し方ありませんが、PSA検査の意味を一般の方に十分理解していただくよう、医療を提供する側で努める必要があります。
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ご寄稿いただいた藤目真教授は前立腺がんの診断・治療の第一人者です。
(別府 倫兄)
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