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血中カルシウム濃度が高いといわれたら 東京女子医科大学大学院教授 佐藤幹二
私達の血中カルシウム(Ca)濃度は8.5〜10mg/dLの間にあるように厳重にコントロールされております。これは、血中Caが下がると、ただちに副甲状腺(これは甲状腺の裏側にある米粒大の内分泌腺で通常四個あります)から、副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されてくるからです。PTHは骨を溶かすように作用して Caを血中に動員します。またPTHは腎尿細管に作用して尿中に排泄(はいせつ)されようとしているCaを再吸収します。さらにPTHは腎尿細管に作用して、活性型ビタミンDの産生を促進します。活性型ビタミンDは消化管に作用して Caの吸収を促進します。このようにPTHのお陰で私達の血中Ca濃度は、絶食しても、一定の濃度になっているのです。
ところが、困ったことに副甲状腺は腫瘍(といっても大概は良性の腺腫です)ができやすいのです。PTHが過剰に分泌される結果、高カルシウム血症が生じてきます。このような病態を原発性副甲状腺機能亢進症と称します。血中Ca濃度が11mg/dL程度なら何の症状もありませんが、12mg/dL台になると、尿中Ca排泄量が増えるため腎結石や尿路結石が生じやすくなります。さらに高値(13〜15mg/dL)になると全身倦怠(けんたい)感、食欲不振、体重減少、鬱病、など様々な危険な症状が生じてきます。
原発性副甲状腺機能亢(こう)進症の診断は、血中Ca濃度が高くて、PTH濃度も高くて、尿中Ca排泄量が多ければ、ほぼ確定的です。治療は、尿路結石などの症状があれば、手術をするのが一番確実です。しかし、最近、健康診断で何の自覚症もないのに、軽度の高Ca血症(大概11mg/dL前後です)が見つかることが多くなってきました。このような病態を無症候性原発性副甲状腺機能亢進症と称します。このような場合には、手術適応が問題となりますが、一般に若年者で、血清Ca濃度が常に11mg/dL以上で、尿中Ca排泄量が1日300〜400mg以上あり、骨密度が減少していれば手術が勧められます。
この際、問題となるのは副甲状腺腫がどこにあるかという局在診断です。正常の副甲状腺は米粒くらいですが、大豆大になっただけでも高Ca血症が生じてきます。したがって、熟練者が頚部エコー検査をしても八割り程度しか見つかりません。頚部エコーで診断がつかない場合には、MIBIシンチグラフィーが最も検出能力があるのですが、残念ながら本邦では健保適応になっておりません。
一般に頚部の手術は合併症が多いので、副甲状腺の摘出術は内分泌専門の外科医に施行してもらうのが賢明です。また高Ca血症を起こす病気は、原発性副甲状腺機能亢進症の他にもいろいろありますので、血中Ca値が高いと言われたら、内分泌専門の内科医を一度受診することをお勧めします。
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今回は、甲状腺・副甲状腺疾患の第一人者である佐藤幹二教授(病態治療学分野)に副甲状腺機能亢進症について解説していただきました。
(別府 倫兄)
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