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中高年者の膝の痛み <症状と原因> 順天堂大学教授 黒澤 尚
50歳以上の中高年になりますと、足腰が痛む方が増えてきます。その中でも多いのは膝の痛みです。中高年の膝の痛みの原因の90%以上は変形性膝関節症(以下膝関節症と省略)です。詳しいデーターはないのですが、全国に1千万人以上いらっしゃると言われています。その病態は関節の表面を5〜6ミリの厚さで覆っている関節軟骨が様々な原因で徐々にすり減って関節内に炎症が起き、痛みが生じてくるものです(図)。「変形性」とは、末期になるとO脚変形を来してくるためです。

膝関節症の初期のころは、起床時に何となく膝がこわばる、動きにくい、動いているうちに治ってしまう、深く膝を曲げると痛む、階段昇降で膝に負担を感じる、といった軽微な症状から、中期になりますと歩き始めと長歩きで痛む、階段昇降や正座が痛くてできにくくなる、気がつくと膝がO脚気味になってきた、等々の症状が起きてきます。末期になりますと、膝ははっきりとO脚変形し(両膝の間に指が3〜5本も入るくらい)、何をしても膝は痛み、そのために外出がつらくなり、家の中に閉じこもり勝ちとなって徐々に孤独な年寄りになっていってしまいます。適切な治療を行わないと徐々に進行していきます。
原因としては@体質A年齢(50歳以上)B性(女性が多い)C肥満(肥満していると、そうでない人に比べて4倍なりやすい)D筋肉の少ない(弱い)人、等々が挙げられています。体質とは最近の研究からは、もともと関節軟骨が弱い、あるいは関節に炎症が起きやすいといった体質がある(体をつくる基になる遺伝子に原因がある)とされています。
「関節軟骨がすり減る」といいますと、「歩き過ぎ」や「使い過ぎ」が原因だろうと即断される方がおられます。しかし、それは間違いです。30年も40年もずっと長い間、マラソンやサッカーなどを続けてこられた方々の調査研究では、それらの方々の膝の軟骨は普通の方々と同じか、あるいはもっと厚いという結果が出ています。むしろ、運動などには縁がなく、下半身の筋肉が弱い、細い中高年の方は筋肉が強い、太い方よりも関節症になりやすいとされています。
次回からは1人でできる効果的な治療法を話します。
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今回、特別寄稿いただいた黒澤尚先生は順天堂大学整形外科主任教授で、専攻は膝とスポーツ外傷。膝の病気については我が国の第一人者です。
(別府 倫兄)
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